FP OFFICE 海援隊|1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」

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トランプ大統領のひと言がトルコ・ショックを生み、巡り巡って私たちの家計をロックする。

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 やっぱり今年は株価の波乱の年で、とにかく動きが荒いですね。

 直近では、トランプ大統領が、トルコに対し鉄鋼とアルミにかかる関税を2倍にするとツイッターで発言したことからトルコ・リラが急落しています。

 スペインやイタリア、フランスなど、ヨーロッパの国々でトルコ向けに発行している債権が回収不能になるかもしれないということで、ヨーロッパの銀行株が売られ、ついでにアメリカの銀行株にも飛び火しました。

 これが、直接的な株式市場の下落要因のようです。

 

 そこに来て今度は、アルゼンチンのペソ・ショックです。

www.nikkei.com

 トルコ・リラの急落でアルゼンチンなどの新興国からマネーが流出する可能性が高まるということで、アルゼンチンの中央銀行金利を45%/年に引き上げました。

 もともとアルゼンチンはIMF国際通貨基金)にお世話になっている国なので、通貨の信用性自体がほとんどないためこの措置は焼け石に水で、逆にペソ売りを誘発させています。

 

 このように、トランプ大統領に端を発する貿易摩擦が世界のマネーを大きく動かす事態が目立っています。

 すぐに思いつくのは11月6日に予定されているアメリカの中間選挙ですが、トランプ大統領の発言の多くはここに照準を合わせているような気がします。

 そもそも中間選挙とは何かというと、日本風にいうと、衆議院の総選挙と参議院の一部改選を行う2年おきの国政選挙です。

 アメリカ大統領選挙ではない年のうち、偶数の年に行われる国政選挙で、日本でいうところの衆議院にあたる「下院」と、参議院にあたる「上院」で選挙が行われます。

 このようなことから、次の大統領選挙の行方を決める選挙として注目を集めます。

 ポイントは、中間選挙で「共和党」が優勢になるか、「民主党」が優勢になるかですが、トランプ大統領共和党を母体とするため、この支持を維持、もしくは高めていく必要があるため、過激な発言を繰り返しています。

 

 なので、傍から見ていると、「またなんかやってる」ぐらいの受け止め方をしてしまいますが、今回の一連の現象を見ていると、結局、こんなことが確認できます。

世界規模で行われていた金融緩和政策の反動は大きい。

 特に、やはりヨーロッパの地中海沿岸国は、完全に不良債権の処理が終わっていなくて、その中で、他の新興国の債権を肩代わりしていることから、リーマンショックの後遺症がいまだに残っているという懸念がぶり返されました。

 それで、今現在、ドルの本国回帰(レパトリエーション)が起こっていて、かたや、安全通貨と思われている円買いも膨らんでいる状況です。

 ひとことでいうと、マネーの逆流がまた起こっていて、リスクオフからジャブ程度に株式市場が急落した格好になっています。

 プチ通貨危機です。

 

 さぁ、このマネーの潮流の行方がどのようになるかですが、目先はアメリカの中間選挙でしょう。

 現状では、アメリカはすでに利上げの方向に舵を切っています。

 そこに新興国との貿易摩擦による通貨ショック懸念が頭をもたげてきました。

 各国が関税引き上げの応酬をしてしまうと、生産コストが上がってしまいます。

 生産コストの上昇は企業活動の重しになるため、特に新興国の国際競争力を弱め、通貨安を引き起こしやすくなります。

 これが予想できる通貨危機のシナリオですが、いったん通貨危機が起こると、他の通貨にも連鎖していきます。

 その際、円が買われ、ドルが買われ、マーケットはリスクオフのポジションを取り、同時に株式が売られる展開につながります。

 一番厄介なのは、せっかく大規模金融緩和からの出口に向かっているにもかかわらず、いったん足止めされることです。

 国内に目を向けると、自民党総裁選、消費税増税の決断、統一地方選挙参院選と政治スケジュールが目白押しです。

 アベノミクスはデフレからの脱却が最大の目標であるため、このタイミングで消費税を引き上げる決断をしてしまうと、国内的には消費の冷え込みと、国外的には貿易摩擦による通貨危機が重なる可能性がでてきます。

 当面は、このような流れがリスクシナリオとして描かれてくるのではないでしょうか。

 

 さて、前置きが長くなりましたが、日経平均株価指数のチャートを見てみましょう。

 今日は、昨日の下落とは反対に値を戻していますが、以前として値動きの荒い状況は変わりません。

日経平均株価指数 チャート

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 テクニカル上のシナリオは以前からずっと同じです。

①今年の2月でアベノミクス相場は終わりを迎えた。

②それ以降は中期調整局面(下降局面)に入っている。

 エリオット波動理論を採用していますが、波形的には、現在の波は「上昇の第2波」の中にあり、この波自体が修正波であるため、中期的な調整が進んでいる最中と見ています。

 さらに波を細分化していくと「修正b波」が終わり、「修正c波」進行中といったところでしょうか。

 この波は、最終的に強い下降波に転じる可能性があるため、仮にそうなる場合、リスク要因はアメリカの中間選挙といえるのかもしれません。

 

 リーマンショックから10年。

 アメリカの金融システムは安定化しましたが、世界史上稀に見る大規模金融緩和により、マネーが大きく揺れ動きだしています。

 日本はおそらく、金融緩和政策からの転換は難しくなるかもしれません。

 賃上げを行い、消費を活性化させようと頑張っていますが、かたや、消費税の増税を行おうとしています。

 視点を貯蓄に移すと、低金利が国民の貯蓄機会を損なわせ、税・社会保険料の負担増により、家計に流れるお金はより非効率になる可能性があります。

 これは、実務面でも確認できることで、賃上げにより家計収入が若干増えつつも、税・社会保険料が増えてしまったことで、家計簿(損益計算書)内での国の政策効果が相殺されています。

 そして、消費税が引き上げられると、さらに家計簿(損益計算書)を毀損するため、純利益を生みにくくなり、結果、資産表(損益計算書)に流し込むお金が減り、ただでさえ低い金利により資産効率が悪い状況にある中、さらに悪化させる要因になるでしょう。

 こうさせないための金融緩和策でしたが、タイミングを逸しました。

 個人的にはマイナス金利政策を行った2016年がターニングポイントだったような気がしますが、その前に消費税を5.0%から8.0%に引き上げてしまったのが最大の損失だったと考えています。

 金融緩和策の効果は実際あります。

 ただ、金融緩和策に頼り過ぎ、財政出動を行う機動性を逃してしまった。

 結論をいうと、おそらく今後もこの国は低空飛行で経済成長していくことになるでしょう。

 同時に、貯蓄環境は悪い状況が続くと思います。

 だから資産形成という理屈ですが、一方で、確定拠出年金による投信の理解が非常に薄く感じます。

 

 だとするならば、会社員の場合、収入を賃上げに頼り、可能なら副業・兼業を行い、支出を見直し、お金を余らしたうえで貯蓄効率を高めるためにどうすべきかというニーズが余計に高まる時代がこれからも続くでしょう。

 だから、消費意欲が低くなるわけですが、1970年以降生まれの私たちは、そんな時代をこれからも生きていくことになるんだと思います。

 何のために生きているのか、その目的を実現するために、家計のロックを外す手段を考えていく必要があるのかもしれません。

 

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