ちょっと知っとこ。自宅の評価。
FP実務では、ご相談内容に応じて、時折、自宅の評価について資金シミュレーションを行います。
これはなぜかというと、作成した「家計簿(損益計算書:P/L)」と「資産表(貸借対照表:B/S)」をもとに、本当の財産(本当の家計の体力)=純資産を見ていく必要があるためです。
企業会計では当たり前のことですが、一般的に家計では、前者の「家計簿」しか見ないため、ここに空き家や相続・贈与の問題がはらみやすくなります。
ちゃんと自宅を「資産表」の中で資産として捉えておけば、これらについて事前の策が練りやすくなります。
自宅といっても、戸建て住宅の場合、土地と建物に分かれます。
建物の価値は年が経つにつれ減価されていくため、20年~25年で償却させていくことになります。
建物部分については、減価償却後、資産価値は計上せず、資産表には土地のみの価値ということで自宅の評価額をプロットさせていきます。
このようにしていくと、一般的なご家庭の場合、最終的に土地部分が資産として残ります。
この金額は、通常、総資産の中で比較的占める割合が大きい部分であるため、空き家対策や相続・贈与対策(財産の移転対策)に多いにかかわってくる部分でもあります。
さて、自宅の土地がいくらぐらいかを確認するには、相続税の評価額を算出するという方法があります。
これは、自宅を売却する際のおおよその目安を知っておくことに活用できます。
取引価格>相続税評価額>固定資産税評価額
土地の値段については、このような関係性を覚えておいて損はありませんが、一般的には、取引価格(ここでは土地取引の指標となる公示価格)を100とすると、相続税評価額は80、固定資産税評価額は70という関係があります。
つまり、相続税の評価額÷80%の金額が取引価格(公示価格)になるという意味です。
相続税の評価額は「路線価」を基準に計算されます。
所有している土地の路線価を知りたい場合は、こちらの国税庁「財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)」で確認してみてください。
簡単な相続税評価額の求め方は以下のとおりです。
相続税評価額=路線価×面積
これをもとに土地の形状などによって補正率が加味され修正されますが、一般的な住宅街でマイホームを保有している場合は、おおよそこのような計算式で考えておきましょう。
この計算式をもとに、たとえば、路線価が4.6万円/1㎡、土地の面積が150㎡だった場合、相続税評価額は690万円となります。
この金額をもとに、土地取引の指標となる公示価格を求めると、862.5万円が取引価格の基準値になります。
この金額=実際の取引価格ではないことには気を付けましょう。
不動産の売買は、結局のところ、需要と供給にもとづいて行われるため、魅力のある土地なら金額は高くなるし、そうでないなら低くなります。
あくまでも目安ということで頭に留めておいてください。
こうして、「資産表」の中で不動産価格の目安が生まれ、長期のキャッシュフロー・シミュレーションに用いられるようになります。
これがなければ、そもそも空き家対策や相続・贈与対策(財産の移転対策)をどうすればいいか、対策の立てようがありません。
だから、自宅の評価額って、重要なんですね。