FP OFFICE 海援隊|1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」

これからの時代、変わりゆく常識を少しだけ早くキャッチし、人生に活かしてみる。

住んでいる場所で変わる「マイホーム出口戦略」の有用性。

f:id:fp-office-kaientai:20180626162407j:plain

 一戸建てのマイホームを今後、どのようにすればいいか。

 これが「マイホームの出口戦略」です。

 

 千葉県酒々井町にある空き家に関するご相談業務をこなしながら、やはり、戸建てマイホームを購入されている子育て世代にとっては、「マイホームの出口戦略」を事前に構築しておかなければ、後で苦労する可能性が高まることが判明しました。

 ポイントは「人口減少化社会」です。

 戸建てマイホームについて考える場合、これから人口が減っていく世の中になることをしっかりと想定し、「老後の住まいのあり方」と「空き家対策」、「財産の移転対策」を考えておく必要があります。

 

 これらを考える際は、自分の戸建てマイホームのある地域が、今後、人口面や行政上の施策面でどのようになるかを想定しておくことが必要です。

 単純に、今後、人口が流入しやすい地域では、不動産市場の流動性がある程度担保されるはずなので、出口戦略としては「売りやすい」、「貸しやすい」といった流通スキームが維持されるでしょう。

 しかし、人口が流出しやすい地域では、戸建て物件の売れ残り、貸し残りが増える可能性が高く、出口戦略としては難易度が高くなります。

 

 このようなことから、通常の相談業務では、子育て世帯向けにマイホームの出口戦略についての基本的な考え方をお示ししています。

f:id:fp-office-kaientai:20180626162113p:plain

 この資料は、直近で「空き家」のご相談をいただいている「退職準備世帯」の方向けに作成したものですが、この図を見るだけで、戸建てマイホームにかかるケアの仕方がわかるようになっています。

 

 前提として、対象は「持ち家」が「戸建てのマイホーム」を所有している方の場合です。

 持ち家の老後の住まいへの対処法は、一般的に4つあります。

①そのまま住み続ける。

②建て替える。

③売る。

④貸す。

 言われてみれば当たり前のことです。

 しかし、多くのご相談者とお会いしていると、マイホームに関する固定観念が染みついてしまっているため、我が家は売れるものだと楽観的に考えている傾向があります。

 ここが大きな問題で、先ほどお伝えした「人口減少化社会」では、人口の流出地域においては、マイホームの売却という選択肢は、これまでと比べぐっと狭まる可能性が高まります。

 だからこそ、リフォームやリノベーションを施し、資産価値を維持する必要性がありますが、これにはお金がかかります。

 ランニングコストが家計支出に重くのしかかってくるため、リフォームやリノベーションをしたくても難しい。

 この結果、空き家問題が発生しやすくなっています。

 現時点で、将来的な人口流出地域においては、こういった住宅環境がすでに表れており、これを見越すからこそ、「マイホームの出口戦略」の有用性が指摘されています。

 

 マイホームの出口戦略の最終ゴールは、ご子息への財産の移転です。

 これは、相続・贈与も含めた「財産の移転対策」でもあります。

 親御さんがふたりとも亡くなった後、受け継いだ不動産(土地・建物)は、放棄しない限り息子・娘に引き継がれます。

 このとき、売れにくいマイホーム、借りられにくいマイホームなら、財産を受け取ったお子さんたちには、それらを維持するためのランニングコストが継続的にかかることになります。

 たとえば、毎年納める固定資産税や火災保険・地震保険の保険料、建物のメンテナンスにかかるお金、庭木の剪定費用などです。

 仮に、お子さんたちのご家庭が子育て世帯だった場合、家計はどうなるでしょうか。

 住んでもいない家のために、自分たちの家計が苦しくなる。

 こうさせないために必要なのが「マイホームの出口戦略」です。

 

 酒々井町でも「空き家バンク」が今年度中に出来上がる予定です。

 空き家の戸数調査によると、空家等の指定を受けた戸建て住宅が77戸となっています。

 行政の考え方としては、コンパクトシティに向けたまちづくりが政策課題となっているため、空家等に指定されると、物件(土地・建物)によっては、その後の処理方法が提案される段取りになっています。

 たとえば、この物件では、取り壊しのうえ、土地を道路の拡張に使うのはいかがでしょうかとか、この物件では、住宅街にある整形地のため、リフォームやリノベーションをしたうえで利活用してもらうのはいかかでしょうかなどです。

 ただし、原理原則をいうと、物件は所有者の持ち物であるため、権利者の合意を得て、その後の対応を決めねばなりません。

 つまり、戸建てマイホームの解体を勧められた場合、解体費用は所有者持ち、利活用を提案された場合、それにかかる資金も所有者持ちとなります。

 

 1970年以降生まれの私たちにとって、今は、家族の幸せを象徴するマイホームかもしれません。

 しかし、老後、家族の幸せが崩壊するようなマイホームでは、何のために頑張って購入したマイホームなのかわからなくなってしまいます。

 だからこその「マイホームの出口戦略」です。

 人口減少化社会の意味を受け止め、しっかりと想定したうえで、ライフプランを構築していくようにしましょう。

 

FP OFFICE 海援隊 Web サイト

fpofficekaientai.wixsite.com