子育て世代がライフプランを叶えるための目標実現アプローチ
人生100年時代と言われるこれから、100年を生きる道筋を思い描ける人はほとんどいないと思います。
でも、おぼろげに、このような人生設計を思い描く人は多いと思います。
「結婚して、幸せな家庭を持ち、子育てを終え、旦那さんの退職後、夫婦で悠々自適な老後が過ごせたら…」
このようなライフプランモデルは、希望として、昔も今もさほど変わりませんが、どちらかというと、現在の子育て世代に比べ自分たちの親世代の方が実現しやすい時代を生きてきた印象を持ちます。
ひと言でいうと、「時代が変わった」ということなのかもしれません。
ライフプラン(人生設計)を考える際は、自分がこれから生きるだろう時代がどのような性質のものかをあらかじめ認識しておく必要があります。
このような社会背景を前提に、子育て世代が前述のライフプランモデルのような生き方を実践していくにはどうすべきか。
今回は、『子育て世代がライフプランを叶えるための目標実現アプローチ』と題して、ライフプランを描く際、どのような流れで人生を考えていけばいいかについて考えていきたいと思います。
Ⅰ.目標・目的の実現までの流れ
①目標・目的の設定
②現状の確認と把握
③課題や問題点の抽出
④解決策の構築
⑤解決策の実行
⑥目標・目的の実現
ファイナンシャル・プラニングでは、実務的にこのような流れで目標・目的の達成を目指します。
当たり前と言えば当たり前ですが、人生といった抽象的なものをイメージする場合、事前に流れを明確にしておく必要があります。
Ⅱ.目標・目的の設定
それでは、目標設定に移りましょう。
目標)
幸せな家庭を持ち、子育てを終え、旦那さんの退職後、夫婦で悠々自適な老後を過ごす
多くの方の場合、このようなおぼろげな目標設定になろうかと思います。
Ⅲ.現状の確認と把握
なんとなく目標を掲げたら、次に、この目標・目的を実現するためにどうすればいいかを考えようとしますが、その前に、現状分析をしておく必要があります。
人生設計を考える際の現状分析では、時代背景などのマクロ面と具体的な家計状況などのミクロ面から状況の把握に努めます。
〔マクロ面での現状分析〕
◦時代背景(超高齢化・少子化)
◦国の政策や制度
◦日本経済の動向
◦お勤めの会社の雇用環境
〔ミクロ面での現状分析〕
◦家計(収入・支出・資産・負債)の状況
◦毎年のキャッシュフロー(お金の流れ)のシミュレーション
Ⅳ.課題や問題点の抽出
さて、「幸せな家庭を持ち、子育てを終え、旦那さんの退職後、夫婦で悠々自適な老後を過ごす」という目標を改めて思い返してみましょう。
現状分析の結果、掲げた目標は実現できるでしょうか。
実現できそうなら今のまま進んでください。
もし、そうでないなら、目標を実現するうえで「課題」や「問題点」があるはずです。
これが次に来る③「課題や問題点の抽出」です。
人生の最終目標が「夫婦で悠々自適な老後を過ごす」ことであるなら、この実現が現時点で難しいかもしれないという場合、子育て世代にとってどのような課題や問題点があるのでしょうか。
課題を抽出する際は、家計を4つに分け、問題点を整理していきます。
①収入面での問題
②支出面での問題
③資産面での問題
④負債面での問題
この4つの中から「夫婦で悠々自適な老後を過ごすことが難しいかもしれない」原因を探ります。
たとえば、収入面に問題があるとしたら、原因は「収入が、目標の実現に向けて、少ない・足りない・満たされていないから」ということになるでしょう。
また、支出面に問題があるとするならば、「基本生活費や住宅関連費などの支出が家計を圧迫しているから」ということが原因として挙げられるかもしれません。
このように原因を具体的に探っていくと、自然と課題が見えてきます。
収入が足りないから老後に向けて貯蓄ができないという場合、課題は「どのようにお金を貯めていけばいいか、増やしていけばいいか」ということになります。
また、住宅ローンの返済が家計に重く、だから老後の生活のためのお金を貯めにくいという場合では、課題としては「住宅ローンの返済方法をどのように工夫していけばいいか」ということになります。
問題点)収入が足りない、支出が多い
課題)収入を増やす、お金を貯める・増やす
Ⅴ.解決策の構築と実行
このように問題点と課題の整理を行って始めて、④「解決策の構築」と⑤「解決策の実行」に移ることができます。
前述の課題に対しての解決策は、必然的に次のようになります。
◦どのように収入を増やすか
◦どのように支出を減らすか
◦どのように資産を増やすか(お金を貯める・増やす)
◦どのように負債を減らすか
この段階から方法論になりますが、ひとつの課題に対して複数の解決策が存在するため、あとはどの解決方法を選ぶかの問題です。
そして、選択した解決策を実行した後、目標・目的が達成されます。
Ⅵ.最後に
今回、お伝えしたかったことは、「行き当たりばったりで問題を解決しようとしない」ということです。
人は、困ったらどうしようかと考えます。
問題が小さかったり、緊急性の高い場合はそれでもいいですが、人生というおぼろげで、道のりの長い事柄に関してはじっくりと腰を据えた向き合い方が必要になってきます。
人生100年時代と言われるこれから。
だからこそ、紆余曲折の人生が待っています。
その先に悠々自適な老後というライフステージが待っているとするならば、人生とは、その時々で目標や目的に向かって課題をクリアしていく作業をひたすら繰り返しながらゴールにたどり着くだけのことなのかもしれません。
現状分析 ⇒ 問題点や課題の抽出 ⇒ 解決策の構築・実行 ⇒目標・目的の実現
何かあったら、常に、このアプローチを意識し、ライフプラン(人生設計)の道しるべとして活用するようにしてください。