年収400万円、子育て世帯。住宅ローンの返済額ってどうやって決めればいいの?
この前、こんな質問を受けました。
「住宅ローンって、年収の何%ぐらいがいいんですか?」
ざっくりいうと、
①返済負担率ってなに?
②住宅関連費の目安ってどれぐらい?
③住宅ローンを組む際の注意点
④最後に
|住宅ローンの返済負担率
一般的には、銀行などが提示する返済負担率(年収の何%まで融資できるかという割合)をもって住宅ローンの返済は年収の〇〇%に抑えましょうなんて言われてますよね。
たとえば、フラット35の場合、返済負担率は下記のようになっていますが、これをもとに考えちゃうと、家計は間もなく、きつくなります。
〇年収400万円未満
返済負担率 30%以下
〇年収400万円以上
返済負担率 35%以下
なぜならば、家計全体で「住宅ローンの毎年の返済額をいくらにすべきか」を考える必要があるからです。
|住宅関連費の目安
言われてみたら当たり前ですよね。
ご質問の趣旨もこのような意味です。
ということで、実務で培ったデータをもとにこんな感じかなという目安を考えてみました。
◎年収400万円世帯における「収入に占める支出の割合」
このグラフでは、年収400万円世帯(夫婦:30代・子ども1人:小学生以下)を前提にしていますが、年収や家族構成が異なると比率も変わってくるので、実際に検討する際は、気を付けてくださいね。
|住宅ローンを組む際の注意点
住宅ローンを組む際は、まず、現在の家計状況を把握し、将来のキャッシュフロー(お金の流れ)がどのようになるか、あらかじめ計測しておくと比較的考えやすくなります。
そのうえで、理想的な比率を割り出したのが上のグラフです。
グラフでは、支出の項目を「基本生活費」、「教育関連費」、「住宅関連費」、「自動車関連費」、「生命保険料」、「税・社会保険料」、「先取り貯蓄」、「余るお金」とジャンル分けしてあります。
ポイントは、「住宅関連費」以外の項目がどのようになっているかを把握することです。
固定費である「税・社会保険料」は工夫のしようがないので、こういうものと理解してください。
そして、「基本生活費」、「教育関連費」、「自動車関連費」、「生命保険料」の4つを算出し、そのうえで、毎年いくらお金を貯めたいか(「先取り貯蓄」・「余るお金」)を見繕ってから「住宅関連費」を決めるようにします。
ざっくり「住宅ローンが毎年いくらぐらいなら返せるかな」で決めてしまうと、特に「教育関連費」と「先取り貯蓄」、「余るお金」の3つで問題が生じます。
パターンとしてよくあるのは、
子育てしながら老後のお金を貯めるのが難しい
というお悩みです。
これは、通常、住宅ローンの返済金額が過大になっているところに原因があります。
年収400万円の世帯では、「住宅関連費」の理想的な比率を18.0%程度としています。
「住宅関連費」には、ローンの返済金や火災保険料、地震保険料、固定資産税などが含まれていますが、この比率を上回ってしまうと、子どもの進学と老後に向けた貯蓄が難しくなる可能性が高まります。
だから、「基本生活費」を見直すことになってしまいますが、これはお子さんの成長に比例して増えていく傾向があります。
また「生命保険料」も、子育て世帯の場合、月2万円以下が目安になるため、この部分が多ければ削る必要がありますが、逆に少なければ工夫することは難しいでしょう。
こう考えると、「先取り貯蓄」や「余るお金」といった将来に向けた貯蓄を支出に回さざるを得なくなるため、必然的にお金が貯まりにくくなります。
なので、将来の生活はマイホームの返済をいくらにするかでほぼ決まってしまうんですね。
|最後に
今回は、「住宅ローンの返済は年収の何%ぐらいがいいか」というご質問から解答を導きました。
答えは「銀行の返済負担率ではなく、家計全体で考えることが大事」となります。
ちょっとざっくりとした説明でしたが、この点を踏まえ、十分気を付けて検討するようにしてくださいね。