成人の年齢が18歳!? 大人と子どもの間に何があるの?
成人の年齢が20歳から18歳に引き下げられることが話し合われています。
これまでの選挙でもご存じのとおり、すでに選挙権は18歳から与えられるようになりました。
今までスルーしてたんですけど、そもそも「成人」が「18歳」ってどういうことなんでしょ。
成年と未成年。
この間にはどんな違いがあるんですかね。
たとえば結婚。
現行の民法では、第753条に「未成年が婚姻をした時は、これによって成年に達したものとみなす」(婚姻による成年擬制)とあります。
今の法律だと、結婚できる年齢は男性18歳、女性16歳ですが、未成年のときに結婚すると、それだけで成年として大人の扱いになります。
つまり、それまで親の保護や干渉のもとにあった未成年から、主体的に生活を営む大人になるわけです。
それとか、契約などの法律上の行為。
未成年は親権者の同意がなければ契約を結ぶことができません。
だから、未成年者には契約を取り消す権利が与えられています。
民法第5条1項「未成年が法律行為をするには、その法定代理人の同意をえなければならない」、民法第5条2項「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる」(未成年取消権)が、それです。
でも、20歳になれば未成年でなくなるため、この権利はなくなり、自分の意志で契約を結べるようになります。
条文を読む限り、成年と未成年、大人と子どもの間には、社会生活を営む上で主体的に自己判断できるかどうかが基準になっていることがわかります。
ただ、個人的には、20歳から18歳に成年の年齢を引き下げるということは、現実問題として、高校生に社会性のともなう自己判断能力があるとするわけで、実務的にどうすればいいか考えあぐんでいます。
婚姻については当事者同士の意思で法律に則って行ってもらえばいいですが、契約などの法律上の行為については、ただでさえ20代の人たちに対してかなり神経を研ぎ澄ませているつもりです。
これが18歳、19歳となってくると、今まで以上に慎重にならざるを得ません。
法律的には成年になるので何ら問題はありませんが、それでも社会生活の営みや経験値、知識量、収入などの経済的な事柄も踏まえると、成年の年齢を引き下げるなら、同時に様々な方面で教育を行っていく必要があると思います。
ここ数年、金銭教育が盛んになっています。
大人はもちろん、大学生、高校生、中学生、小学生にいたるまで、その機会が設けられるようになっています。
それぞれの成長段階に合わせた内容が準備されていますが、たとえば小学生ならお小遣いゲームなどでお金の使い方を学んだり、高校生なら進学と併せて人生設計について考えてみる授業が行われています。
大学生にもなると、クレジットカードや借入れ、契約など、具体的な金銭消費活動について身につけることがテーマとされていますが、大人の場合は、より生活に密着した内容がメインになります。
ただ、思うんですよね。
現実問題としてお金の話は確かに大切なんですが、それよりも家庭内で、もしくは地域社会で、より多くの体験や経験を積み、そこから精神的な自律を育むような教育を行う方が大事なんじゃないかって。
時代は常に変化しています。
国際情勢しかり、国内情勢しかり。
これにともない国内の経済状況も変わり、私たちの暮らしも昔と比べすっかり変わりました。
しかも、変化のスピードが速いんですよね。
このような時代では、金銭教育で身につけられる知識よりも、ホントは変化への対応力、つまり、考える力と行動する力を育むことの方がより重要な意味を持っています。
だからこそ、成人が18歳からという法改正の論議は社会的に価値のある事柄なのかもしれません。
18歳成人が実現するのは早くても2022年と言われています。
その後、日本の社会はどんなふうに変わっていくのか。
大人の再定義が必要なのかもしれませんね。