経済のための社会なのか。社会のための経済なのか。今年の観察ポイントはこれかな。
Green Day: "Oh Love" - [Official Video]
明けましておめでとうございます。
当ブログは、基本、顧客サービスの一環で運営しています。
昨年はそれでも多くの方にご覧いただいていたようで、誠にありがたく思っております。
さて、2018年、戌年の今年はどうしましょうか。
2017年、ちょっと気になったことがありまして、個人的には今年はこれを観察しながら前に進んでいこうかと思っています。
経済のための社会なのか。
社会のための経済なのか。
ファイナンシャル・プランナー(FP)事務所は、業界的には金融業界に属しますが、昨年は殊にこの業界のモラル低下を感じる1年だったような気がします。
これは難しい問題なんですが、金融庁の動きとか、業界関係者との対話、顧客の反応などを見ていて感じたことです。
保険業界では必要以上に外貨建ての保険が売られるようになっていて、経済原理を無視し、また顧客の意向や知識水準をあまり考慮せずにセールスありきの販売姿勢が取られる傾向が続いています。
ある地銀の方が言っていたんですが、銀行自体が保険会社と協力して、そのような販売をせざるを得ない状況が続いているからですと。
確かにマイナス金利政策が長引き、金融機関としては利ザヤを稼ぐことが難しくなっているのもわかります。
本業である融資では、金利があまりにも低いので経営が悪化している状況が慢性化しています。
そのような中で活路を見出したのが投資信託や保険の販売業務。
販売手数料目当てに本業の稼ぎが減っている分を補おうとする戦術です。
こういうのが金融庁に突かれちゃってるんですけど、ざっくりいうと、昨年はこのような金融機関の姿勢に疑問を持った方が弊事務所に相談を依頼してくださいました。
企業のための社会なのか。社会のための企業なのか。
日本経済はデフレ下にあります。
デフレは物価の低迷が長く続くことです。
デフレーションがこの国で始まったのは、バブル崩壊後の1990年代後半。
橋本政権の頃と言われていますが、それ以来ずっと今日に至ってもデフレが続いています。
現政権である安倍内閣のもと、積極的に金融緩和政策が採られ、デフレ脱却まであと一歩のところまで来ていますが、その過程で起きている金融機関のモラル低下。
経済のための社会なのか、社会のための経済なのか。
この点は今後、歴史がその意味を問うことになるかと思います。
この事例を観察していきたい。
今年のテーマはこれなんですけど、他にもいくつかあります。
IT化に代表される生産性向上=生産性革命が社会のためにどれだけ有効に働くのか。
生産性の向上は、前提として新たな産業への移行や新しいサービスの創出がなければ、それ自体は単なるコスト削減にしかなりえません。
ここでも経済のための社会なのか、社会のための経済なのかの問いが生まれます。
昨年は予想通り、働き方改革がスローガンとして大きく取り上げられました。
にもかかわらず、蓋を開けてみると、時短や残業ゼロが声高に叫ばれるに留まり、働き方改革の本来の目的である「多様な生き方を認める社会づくり」にまでは程遠いように思えます。
働き方改革が単なる待遇改善に終わってしまうなら、政策的にも経済のための社会なのか、社会のための経済なのかという問いが生まれます。
身近なところでいうと、企業の価格設定のあり方にもこの問いが存在するような気がします。
たとえばラーメン屋。
昔はラーメン一杯500円という時代でしたが、いつの間にか一杯のラーメンを食べるのに1,000円近いお金を払うようになっています。
ここでの問題は原材料費や人件費が上がっていることとブランディングという価値の創出が根付いてしまっていることにあります。
本当はラーメンって一杯いくらで作れるんでしょうかね。
本当に美味しいものには相応の価値があるので、それに見合った値段がつけられてしかるべきです。
しかし、ブランディングという価格設定の手法が必要以上に一杯のラーメンの値段を押し上げているのが側面としてあるのなら、ここにも企業のための社会なのか、社会のための企業なのかという問いが存在します。
ブランドというのは、前提として歴史や伝統に裏打ちされ、それが人々から評価された結果成り立つもの。
だから、ブランディング≒付加価値作りとしてしまうと、単なる見せ方や表現方法といったテクニックに主眼が置かれ、本当の価値ってどこにあるの?ということになってしまいます。
ブランドは小手先の手法で作れるもんじゃないんですよね。
さぁ、2018年、さまざまな方面でモラルの低下が目立つ年になっていく気がします。
この原因はどこから来ているのかいまいちつかめませんが、複雑な要因が絡み合っていると思います。
経済的にはデフレが長引いているからと言えるかもしれません。
その結果、不安や心配の種が増え、安定志向が強まっていく時代の流れの中で起こってきた社会現象と言えるでしょう。
政治哲学。
企業倫理。
人々の道徳観。
今年の1年は、経済のための社会なのか、社会のための経済なのかという問いを軸に、人としての在り方について再認識する年にしたいと考えています。
ということで、本年もよろしくお願い申し上げます。
みなさまのご多幸とご健勝をお祈り申し上げます。
年末年始はインフルエンザにかかっちゃいましたけど、自分でいうのもなんですが、お体には気を付けてくださいね。