FP OFFICE 海援隊|1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」

これからの時代、変わりゆく常識を少しだけ早くキャッチし、人生に活かしてみる。

保険の戻り率と預金の金利、どっちがいいの?

f:id:fp-office-kaientai:20170824083035j:plain

 学問の秋。

 お金についてリテラシーを身に着けたいと思う方もいるかもしれませんが、今回は、実務的によくある「保険の戻り率と預金の金利」についてお話していきます。

 保険の戻り率とは、満期一時金や途中で解約した場合の返戻金を、支払った保険料の総額で割ったパーセンテージのことです。

 たとえば、貯蓄性の保険(死亡保険や個人年金保険、学資保険など)を勧められる際、保険ショップや保険の代理店の人たちは、「何歳まで積み立てると戻り率が103.0%になります。ほらっ、銀行に預けるよりもお得でしょ?」なんてことを言います。

 保険あるあるですよね。

 この103.0%なるものが戻り率で、支払った保険料よりも戻ってくる満期保険金や解約返戻金の方が3.0%多いということで、結構、みなさん、お得!と思ってしまっているようです。

 

 確かに、考え方としては間違いではありません。

 銀行に預けるよりは利息が良さそうと思うのもうなづけます。

 

〇スーパー定期300万円未満の金利一覧(yahoo ファイナンスより)

f:id:fp-office-kaientai:20170824084850p:plain

 都銀やネット銀行で扱っているスーパー定期300万円未満の金利と比較しても、高そうですよね。

 でも、ちょっと待ってください!

 保険でお金を貯めるのが目的の場合、保険商品そのものは金融商品であるため、損得の比較は「年利」に換算して行っていく必要があります。

 そうじゃないと、銀行の預金金利と比較できないんですよね。

 なので、ファイナンシャル・プランナー(FP)事務所としては、毎度のように「戻り率を年利に引き直す」作業を行います。

 

 それでは、戻り率が103.0%、加入期間が30年とした場合の年利計算をしてみましょう。

 このケースの場合、総利回りは3.0%です。

 1年当たりの利回りに焼き戻すには、総利回りを加入期間で割る必要があります。

〇年利の計算

 3.0%÷30年=年利0.1%

 つまり、この条件の貯蓄性の保険の場合、年利が1.0%となり、この値を銀行の金利(年利)と比較していくことになります。

 もう一度、金利の一覧表を見てみましょう。

f:id:fp-office-kaientai:20170824084850p:plain

 たとえば、ネット銀行で有名なSBJ銀行では、5年物の定期預金の年利が0.3%となっています。

 先ほどの貯蓄性の保険では年利が0.1%だったので、結論としては、SBJ銀行の5年物定期に預ける方がお金は貯まりやすいと判断できます。

 誤解のないように断っておきますが、これはあくまでも「保険を使ってお金を貯めたい」という場合の計算です。

 保険本来の目的は保障なので、保障を最優先する場合は損得勘定で計算するのは間違いです。

 つまり、貯蓄性のある保険に加入する際のポイントは、加入の目的が「貯蓄」なのか、「保障」なのかをはっきりさせ、貯蓄の場合は年利の計算をする、保障の場合は保障内容を優先すると分けて考えていくことにあります。

 

 保険も金融商品です。

 金融商品である以上、どの金融商品でお金を貯めればいいかを判断する際は、預貯金だけでなく、国債投資信託、株式など他の金融商品と比較したうえで検討していく必要があります。

 ただでさえ、金利が低い時代です。

 知らないということで、入り口で損をしてしまっている方があまりにも多いので、今回はあえてこの話題に触れてみました。

 マネーリテラシーって、結構、大事なんですね。

 

 

 保険の見直しについてのご質問・ご相談は、

FP OFFICE 海援隊 Webサイト

fpofficekaientai.wixsite.com