今どきの「おとなのお小遣い」事情とは。
お小遣いといえば、子どものお小遣いを連想してしまいますが、今回は、新生銀行が行った「2017年 サラリーマンのお小遣い調査」をもとに「おとなのお小遣い」を覗いてみます。
その前に、このレポートの調査方法を確認しておきましょう。
〇調査期間
2017年4月4月7日~9日の3日間
〇調査方法
インターネットによる調査(専門の調査会社に依頼し、全国からサンプルを収集。
〇調査対象者
〇サンプル数
会社員|男性1,252名、女性789名
パート・アルバイト|男性415名、女性258名
初めは、調査対象者が新生銀行の顧客?って思いましたが、そうではないんですね。
会社員とパート・アルバイトでもアンケートを分けているようです。
それでは、会社員の調査結果をもとに「おとなのお小遣い」を紐解いてみましょう。
あなたのお小遣いは、月いくらですか?
男性会社員の場合、月々の平均のお小遣いは「37,428円」となっています。
年代別に見ると、20代~40代が35,000円前後なのに対し、50代が44,040円と少し多くなっています。
一方、女性会社員の場合、平均「33,951円」ですが、男性とは異なり、20代が最も多く42,123円、30代・40代・50代になるにつれて減っていく傾向があるようです。
このデータからわかるのは、おそらく、男性と女性では「お小遣いの使い道が異なる」、「子育て期間中は、お小遣いの金額を抑える傾向がある」、「お小遣いは、家族構成や働き方で変わってくる」ということでしょう。
それにしても、男性会社員のお小遣いの平均額が月35,000円前後というのは、1日当たりに換算すると約1,166円になるので、世のお父さん方は結構厳しいなぁという印象です。
でも、これってきっと今のような経済環境だからなんでしょうね。
サラリーマンの平均のお小遣いの推移を見てみましょう。
バブルが崩壊したのは1991年です。
ちょうどそのころ、月々のお小遣いの平均はというと、なんと「77,725円」。
今と比べると、ほぼ倍の金額だったんですね。
それ以降は減り続け、2004年にボトムを着けています。
その後微増しましたが、リーマンショックのあった2008年以降は少しずつ減り続け、現在、男性会社員の月々の平均のお小遣いは「37,428円」となっています。
単純に考えてさ、1970年以降生まれの世代からしてみれば、自分たちの親世代とか、先輩世代から「もっとお金を使いなさい」とか言われても、このデータを見ちゃうと説得力ないよね。
しかも、アベノミクスで株価は上がってるのに、お小遣いにまったく影響を及ぼしていない現状・・・。
これって、どういうこと?
お小遣いがダウンした理由はなんですか?
男性会社員では、回答のうち43.1%が「給料が減ったから」と最も多く、次いで「生活費にかかるお金が増えたから」、「子供の教育費がかかるようになったから」、「家のローンの負担が増えたから・家賃が上がったから」、「子供が生まれたから」と続いています。
内訳を見ると、「給料が減ったから」は40代・50代が多く、「子供の教育費がかかるようになったから」は30代・40代が多くなっています。
確かに、実務レベルでは、「賃金形態」や「働き方」が変わっていることでご主人の給与が減少しているご家庭を見受けます。
また、お子さんの教育・進学資金を用立てる必要がある30代・40代の世帯にとっては、教育・進学資金の高止まりや学習塾・習い事にかかる費用など、支出に占める学校教育費・学校外教育費の割合が相対的に高まっています。
こういう時代でも、世のお父さんたちは頑張ってるんですよ。
だから、お昼ご飯ぐらいはもっとたくさん食べさせてあげてほしい・・・。
あなたの昼食代は、平均すると1回いくらですか?
このデータは、お弁当の持参を除く1回当たりの昼食代の平均額です。
男性会社員の場合、1回当たりの昼食代の全体の平均額は「590円」、女性会社員の場合は「581円」となっています。
お父さんのお昼ご飯、1回、590円・・・。
お弁当の値段が下がって280円弁当が出たことを考えると、ある意味うなづけるデータかもしれません。
それじゃあ、会社の付き合いとか、飲み代ってどうなってるの?
男性会社員の場合、外飲み1回当たりの平均額は「5,286円」、家飲みの場合は「2,614円」となっています。
前から思ってたんですけど、飲み会の会費って、ここ近年、1回当たり5,000円とか徴収されますよね。
昔は3,000円ぐらいで済んでたと思うんですけど、お小遣い減ってるのに飲み代が増えてるってどういうこと?
ちなみに、4人に1人がお酒そのものを飲まないそうです。
自分もお酒は飲めませんが、案外いるもんですね。
1か月当たりの外飲みの回数は、男性会社員で2.3回となっていますが、月々のお小遣いが37,428円で1回当たりの飲み代が5,286円と考えると、昼食代も含めた場合、1か月当たりで自由に使えるお金は9,156円。
これで、1か月のプライベートな支出をやりくりしてくださいという計算になります。
このように見てくると、どうなんでしょうね、働き方改革って。
会社でどんな働き方改革がありましたか?
男性会社員の場合、年収が高いほど働き方改革が実施されているようですが、それもそのはず、働き方改革の矛先は、企業からしてみれば固定費である人件費の高い人から行われるものなので、この影響が出ているんだろうと思われます。
お小遣いが減っている理由に「給料が減ったから」というのがありました。
当然ですよね。
働き方が変わってきているわけですから。
仕事と家庭を両立しましょうという「ワーク・ライフ・バランス」の行き着く先が、結局、このような結果に終わってしまうのは、「ワーク・ライフ・バランス」の本来の目的ではありません。
まだ発展途上なのかもしれませんが、家計面で考えると、現状ではマイナスに働いているようです。
その代わり、時間ができたんじゃない?
確かに、このデータを見ると、自由に使える時間ができたのかもしれません。
男性会社員のケースでは、全体で30.5%もの人が「食費(飲み代を除く)」が増えたと答えています。
これは外食する時間や家族との団らんが増えたことの現れなんでしょう。
「趣味の費用」や「飲み代」、「子供の教育関連の費用」、「旅行代」、「自己啓発のための費用」、「遊興費」、「ファッション費用」、「身だしなみのための費用」と順を追って見ていくと、お金の使い道が自分や友達、家族との時間を過ごすためとなっている傾向があるようです。
これを見る限り「ワーク・ライフ・バランス」の効果が少しずつ浸透してきているのかもしれません。
ただ、働き方と収入、時間との関係は逆相関の動きを示します。
働く時間を減らすと収入も減少し、その代わり時間が増えるため、今度は「時間をどのように使っていくか」という新たな課題と向き合っていく必要があります。
いかに人生の幸福につなげるかがワークシフトの本来の目的ですが、企業に依存して生計を立ててきた昭和のライフプランモデルという既存の価値観が、個人・企業・行政の3方向からどこまで変化していくのか・・・。
10年もすればある程度は変わっていると思いますが、それにともなう副作用もたくさん出てくると思われます。
今回は、今どきの「おとなのお小遣い」事情を紐解きながら、家計や働き方、人生のモデルにまで話を膨らませてしまいました。
新生銀行が伝えたかったことは、国の制度が変わると、お小遣いまで変わってしまう?
少し大げさな見方かもしれませんが、この調査、時代の先を映し出しているような気がします。
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