「何のために」お金を貯めるのか。お金の性質を見極める!
前回は、お金を貯める「4つの原則」と題して「お金の貯め方」についてお伝えしました。
今回は、そのひとつ目の原則である「何のために」お金を貯めるのかを深掘りしていきます。
「あなたは何のためにお金を貯めていますか?」
こんな質問を受けたらどう答えるでしょうか。
「老後のため」、「子どものため」、「家族のため」、「マイホームのため」、「家族旅行のため」、「車の購入のため」など、人によってお金を貯める目的はいろいろあります。
その前段で、FP相談ではライフプラン(人生設計)を立てますが、ライフプランは「自分や家族の夢・目標・目的を実現するために立てる未来設計図」です。
そして、子どもを大学に進学させるため、マイホームを購入するため、老後の生活に余裕を持たせるためなどの目標を達成するうえで、具体的にどのようにお金を用立てていくのかを組み立てるのが「マネープラン」という位置づけになります。
なので、ライフプランがなければ、マネープランは立てられないんですね。
ライフプランで未来の人生を設計し、
マネープランで具体的な貯蓄計画を練る。
これがライフプランとマネープランの関係です。
今回は、何のためにお金を貯めるのかにスポットライトを当てます。
すでにライフプランは立てました。
夢や目標、目的を実現するためにマネープランを立てたいです。
この段階でのお話です。
何のためにお金を貯めるのかは人それぞれですが、実を言うと、お金を貯める目的の「性質」は人それぞれではありません。
ちょっとわかりにくいですね。
要は、
お金の性質は3つにしか分類できない
ということです。
(1)絶対にリスク(不確実なこと)を取れないお金
(2)ある程度までリスクを取れるお金
(3)100%リスクを取れるお金
それでは、(1)絶対にリスクを取れないお金から見ていきましょう。
絶対にリスクを取れないお金とはどういう性質のお金でしょうか。
・日常生活費
・緊急時のお金
です。
これは、主に食費や水道光熱費、通信費、住宅ローンの返済などの「生活支出に関する費用」と、急に病気になった、事故に遭った、誰かが死んだ、子どもが産まれたなどの「臨時的な支出」に分類されます。
別の言い方をすると「短期資金」です。
目先に必要なお金という意味で、「期間の短いお金」、つまり、1日、1週間、1ヶ月、3ヶ月ぐらいまでの期間で備えておく必要があるお金です。
リスクは取れないですよね。目先必要になるお金なので。
万一のことがあった場合の急な出費にも備える必要があるので、これらのお金は貯めるというよりも使うに重きが置かれるお金です。
次に(2)ある程度までリスクを取れるお金を見ていきます。
・結婚資金
・マイホームの購入資金
・車の購入資金
・子どもの教育資金
・海外旅行資金
・老後の生活資金
・住替え資金
・介護資金
・葬儀や墓石のための資金
・子どもに財産を遺すための資金
・開業資金
などが挙げられます。
これらに共通する点は、
目先のお金ではない
ことです。
ある程度先の時期を見据えて貯めていくお金なので、ほどほどにリスクを取ることができます。
こんなふうに説明されると「え~、リスクは取りたくない・・・」と思うかもしれませんが、もちろんリスクを取らずに着実にお金を貯めていってもOKです。
ただ、リスクを取りなくないということで、銀行の預金や貯蓄性のある保険でお金を貯めようとすると、今度は逆になかなかお金が貯まらないというリスクを被ることになります。
日本人の場合、リスクを嫌う傾向があり、これはある意味、言葉の不理解から来ていると言えます。
本当は、リスクとは「不確実なこと」を指し、日本人の感覚では、リスクを危険、つまりデンジャーと理解している傾向があります。
貯められるかもしれない可能性も、貯められないかもしれない可能性も、同じリスクです。
このようなことから、リスクをコントロールするために、上記の目的でお金を貯める場合は、期間を長めに設定します。
つまり、これらのお金には「期間を長めに設定していくことで、ある程度リスクを取りながら貯められる」という性質があります。
ここで重要なのは、安全資産とのベストミックスです。
将来の使い道が決まっているお金なので積極的にリスクを取りに行くことはできません。
なので、預貯金や貯蓄性の保険などの安全資産をベースにしながら、低リスク・中リスクの資産にお金を配分していくことで、より目的を達成しやすくさせます。
別の言い方をすれば、これらのお金は、分散投資をすることができるお金ということですね。
それでは、(3)100%リスクを取れるお金とはいったいなんでしょうか。
捨て金
ちょっと乱暴な表現ですが、要は「使い道のないお金」、「余っているお金」、「遊び金」です。
積極的にリスクを取る場合、投資方法はハイリスク・ハイリターンになってきます。
大きく儲けられる可能性がある反面、損失も大きくなる可能性があります。
このようなスタンスで(1)や(2)の性質のお金を使ってしまうと、すっからかんになってしまいかねません。
なので、100%リスクを取れるお金は捨て金を原資に運用するよう心掛けましょう。
今回のテーマは「何のために」お金を貯めるのかでした。
ポイントは「お金の性質」を見極めること。
何のためにお金を貯めるのかはみんなわかっています。
でも、多くの人が預貯金や保険に偏っている現状を見ると、金融機関のセールスの問題もありますが、おおよそ「お金の性質」にまで考えが及びにくい環境になっているんだろうと推察できます。
1970年以降生まれの私たちは、非常に貯蓄しづらい時代を生きていくことになります。
その原因は、高齢化と少子化、デフレにともなう金融緩和政策の長期化など、さまざまな理由が挙げられます。
今、国は「貯蓄から資産形成へ」のスローガンのもと、制度改正を行い、子育て世代や若年世代の資産形成を後押ししようとしています。
金融機関のあり方が問われる昨今、消費者としての私たちも「お金の勉強」を少しずつ体験し、知識や情報を身につけていく機会が今後求められてくるでしょう。
目的のあるお金は、性質を見極めて、バランス良く準備していきましょうね。
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