所得控除ってなんですか? 所得税はライフステージによって違ってくる!?
いくらぐらい所得税を払ってるのか意識するときって、どんなとき?
会社に就職して、初めてお給料をもらったとき?
結婚して配偶者ができたとき?
子どもが産まれて、扶養に入れたとき?
マイホームを買って住宅ローンを組んだとき?
退職金をもらって、老後の暮らしが現実的になったとき?
それとも全然意識しない?
会社員の場合、一般的に源泉徴収によって毎月所得税がお給料から差し引かれるので、実際、自分がいくらぐらい所得税を納めているのかよくわからないという方が多いようです。
FP相談では、将来のライフプラン・シミュレーションを作成する場合、収入と所得、控除、所得税の金額を把握していきます。
そんなときによくある質問。
所得控除ってなんですか?
所得控除とは、の説明をするときは、決まってこんな式をお見せします。
「収入」-所得「控除」=課税「所得」金額
収入と所得は似たような意味に思いますが、税制上は、収入から所得控除の金額を差し引いたものが所得になります。
所得控除は、課税所得金額を求めるうえで、なくてはならない金額なんですね。
意味合い的には「家計を運営するときにかかる経費」と思ってください。
商売を例に考えるとわかりやすいです。
「売上」-「経費」=「事業所得」
「事業所得」×税率=事業税
商売の世界では、売上から経費を差し引いたものが事業所得になります。
これに税率を掛けて事業税を求めていきますが、所得税もこれと似たような理屈で、一家を養うための必要経費として「所得控除」の金額を収入から差し引くことができます。
それでは、所得控除ってどんな種類があるのでしょうか。
①雑損控除
②医療費控除
③社会保険料控除
④小規模企業共済等掛金控除
⑤生命保険料控除
⑥地震保険料控除
⑦寄付金控除
⑧障害者控除
⑩勤労学生控除
⑬扶養控除
⑭基礎控除
なんか、いっぱいありますね。
正式には全部で14種類です。
他にも、住宅借入金等特別控除(いわゆる住宅ローン控除)が有名ですが、これは正式な所得控除ではないんですね。
家を買った人限定の経済支援のための税制なので、所得控除ベスト14には入れられていません。
また、給与所得控除というのもあります。
所得控除と書かれているので所得控除じゃんと思いますが、これは給与そのものにだけ認められた経費のようなものなので、すべての収入から差し引くことができる所得控除という意味ではありません。
ちょっとややこしいですが、正式な所得控除は14種類あることだけ覚えておいてください。
さて、所得税の計算の仕組みを少し理解したところで、「所得控除って、ライフステージに合わせて、種類が変わってくるんじゃない?」って思いません?
そうなんです。
ライフステージやライフイベントによって、使える所得控除が違ってきます。
たとえば、⑭の「基礎控除」は、何らかの形で収入を得るようになったら、誰でも認められる所得控除です。
③の「社会保険料控除」は、健康保険や厚生年金保険などの保険料を払うようになったら、⑬の「扶養控除」は子どもが高校生になったら(16歳以上になったら)、⑪の「配偶者控除」は結婚したら、⑤の「生命保険料控除」は生命保険に入ったら、①の「雑損控除」は災害に遭ったら、⑨の「寡婦・寡夫控除」は配偶者と死別や離婚をしたらなど、人生の節目節目で行われた支出(生活をしていくうえでの経費)が所得控除として認められるようになっています。
ここまでわかると、今度は逆に、「14種類の所得控除を駆使すると節税につながるんじゃん?」って思います。
確かにそうなんですが、所得控除は、節税というよりもむしろ「生活をしていくうえでの経費」という意味合いなので、活用したら結果的に節税につながったぐらいに思うようにして、ライフステージやライフイベントの変化に合わせて上手に使っていくようにしましょう。
税金の仕組みを理解してしまうと、人間、悪知恵を働かせてしまいます。
節税は必ずしも悪いことではありませんが、税制の網をくぐりぬけようとしすぎると、結果、脱税に発展してしまいます。
税制は、理屈を知り、ルールを守ってしっかり使う。
これが節税のポイントなんですね。