子育て・老後*「1970年以降生まれのライフ&マネー塾」

子育てしながら、お金を貯める。ちょっと工夫して生きてみるのが、1970年以降生まれの僕らの人生。

世帯年収400万円以下は収入を増やし、世帯年収400万円超は資産を増やす。

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 はたして、1970年以降生まれの私たちは、老後の生活資金を貯めることができるのだろうか。

 これは、2008年のリーマンショック後から自分に課している問題提起ですが、ここに来て少し結論が見えてきました。

 キーワードは「金融緩和の出口戦略」です。

 アメリカの中央銀行であるFRBは、昨年来、少しずつ利上げを行っています。

 今年に入ってからは、リーマンショック後、長く続いた金融緩和策をそろそろ本格的に見直していこうと話合いが持たれていますが、これからは、より具体的に「どのタイミングで」、「どれぐらいの規模で」、「事実上の利上げを行っていくのか」に焦点が移っていきます。

 

 金融緩和は、中央銀行が市中にお金をばらまくことで景気悪化後の経済活動を回復させる景気浮揚策です。

 景気が少しずつ良くなっていくと、どこかの時点で政策の見直しが行われますが、アメリカ経済はちょうどこの局面に差し掛かっています。

 この過程で、「金融市場(有価証券などの市場)」と「実物市場(日常の経済)」の間に乖離が生まれます。

 ほどほどの乖離の場合、金融緩和策を維持していくことになりますが、乖離幅が広がり、極度に離れてしまうと、これ以上お金をばらまく金融緩和を行うのは実体経済に悪影響を及ぼすことから見直しが図られます。

 ここで問題になるのが、①景気の実態をどう判断するのか、②その判断にもとづいて、どのタイミングで金融緩和を終わらせるのか、③金融緩和をどのような方法で終わらせるのかの3つです。

 景気判断では、アメリカの場合、消費や物価の持ち直しが見られており、実体経済は良好と考えられています。

 ただ、株価が史上最高値を更新し続けており、金融市場(有価証券などの市場)の過熱感が目立つようになっていることから、金融当局は警戒感を強めています。

 私たちはバブルというと、昔、トレンディードラマが流行った頃の風景を思い浮かべ、暮らしの中で異常なぐらいの金遣いをする印象を持っていますが、本来、バブルは「金融市場」と「実物市場」の乖離が極端な状態にあることです。

 なので、今、アメリカでおこっていることは、私たちが普通に思ってしまうバブルではなく、金融市場(≒資産市場)が、相対的に実体経済と比べ良くなりすぎているという意味でのバブルです。

 バブルという言葉の定義を間違って理解してしまうと本質を見失ってしまうので、注意が必要です。

 

 一方、ヨーロッパでは少し状況が違います。

 2008年のリーマンショック後、ギリシャショックでも見られたように、EU域内の問題は、景気だけでなく、国そのものの体力が削がれたことにあります。

 通常、景気が悪くなると、モノが売れない、モノを買わない、仕事が減るといった現象がともないますが、これに加え、国の財政が極度に悪化する最悪の状況になってしまったのがEU経済です。

 EUの場合、初めのうちは、国の財政状況を悪化させないために金融引締策を行ったので余計に景気が悪くなりました。

 しかし、強引な手術に耐えた後、金融緩和と財政出動を行った結果、実体経済に栄養分としてのお金が回り、他の先進国に比べスピードは遅かったものの回復基調に乗っています。

 それがここに来て、金融緩和から抜け出そうという話合いが持たれるようになっています。

 マーケット的にはまだ早いだろうという印象ですが、国際協調路線という曖昧な約束をもとにアメリカの動きに追随する態度を見せています。

 EUから離脱したイギリスや、EUではないですがオーストラリアも金融緩和の出口戦略を模索するようになっているため、傾向としては、今後、金融緩和からいかに脱するかという流れになっていくでしょう。

 

 さて、「金融緩和の出口戦略」というキーワードをもとに、アメリカやEUの動きを見てきましたが、日本の場合はどうでしょうか。

 2016年1月、日銀はマイナス金利政策という更なる金融緩和に踏み切りました。

 景気がなかなか良くならない、消費が振るわない、物価が思うように上がらないなどの理由で、もっと市中にお金を回し、みんなにお金を使ってもらおうという政策です。

 その結果、現状では、①若干物価が上がっている、②GDPが少し上がっている、③金利が低くお金が借りやすくなっているぐらいの効果しか上がっていないような気がします。

 アベノミクスでは、賃金を上げることで家計収入を増やし、消費を促そうと努力しています。

 また、人手不足により賃金は少し上がってきています。

 景気を良くするための方策なので評価はしますが、思うように効果が上がらないのはなぜなのか・・・。

 まず考えられるのは、消費税率を8.0%に引き上げてしまったこと。

 これは、単純に家計支出が3.0%増えてしまったことに等しいので、家計の収支が悪化しているのは当然です。

 次に、社会保険料が少しずつ引き上げられていること。

 高齢化社会なのでいたしかたないことですが、税の負担と合わせると、家計支出が増えてしまっているため、世の中のお母さん方はお金を使うのが難しくなっているのではないでしょうか。

 そして3つ目の理由ですが、老後の生活に対して不安が増長していること。

 これは年金制度に対する不信感や金利が低くお金を貯めるのが難しいところに起因します。

 最後に、現役世代である子育て世帯にとっては、住宅ローンの負担や子どもの教育費が高いこと。

 住宅ローンは、一般の会社員世帯の場合、だいたい月6万円~8万円ぐらいのご家庭が多いと思いますが、収入がそれほど増えていないのに、税と社会保険料が上がっているため、家計に占める住宅ローンの返済割合が相対的に高まっています。

 また、教育・進学資金が高止まりしているため、収入の伸びが鈍い状況では、こちらも相対的に家計が苦しくなる要因のひとつです。

 このような理由から、総合的に家計がお金を使いにくい環境が生まれています。

 

 政府・日銀は、このような家計状況を理解していると思います。

 だから、アベノミクスを推進し、景気の回復に向けた政策を積極的に実行しようとしています。

 欧米では、金融緩和からの出口を模索するために動き出しています。

 日本では、金融緩和に向けた議論はかなり前からありますが、それをなかなか行動に移すことができません。

 なぜでしょうか。

 端的に言うと、日本ではデフレ脱却がクリアできていないからです。

 欧米は基本的にはデフレではありません。

 リーマンショック後、ヨーロッパでは、もはやデフレかと騒がれましたが、結局デフレにはなりませんでした。

 ここが大きな違いです。

 最近の報道では、欧米が金融緩和から抜け出そうとしているんだから、同じ先進国である日本もそうした方がいいというニュアンスの記事を見かけます。

 この理屈で金融緩和を止めてしまうと、さらに景気は悪くなるでしょう。

 

 ここからが日銀のジレンマですが、欧米と同じようにすると、実体経済は悪くなる・・・。

 しかし、何もアクションを起こさなければ、欧米との金利差が拡大し、序盤は円安になり日本経済にとってはプラスに働くかもしれないが、仮に欧米の金融市場にブレーキがかかり、マネーの逆流が起これば、日本の資産市場もその動きに巻き込まれてしまう・・・。

 欧米が金融緩和から徐々に政策転換を図ると、日本とアメリカ、日本とヨーロッパの金利差がマーケットに注目され、為替はどちらかというと「円安・ドル高」、「円安・ユーロ高」に傾いていくでしょう。

 初めのうちは大きな変化はないと思いますが、今よりももっと株価に割高感が生まれると、投資効率が悪くなるので、他の投資先にマネーが流れ、株価はピークを打つ可能性があります。

 マーケットの警戒はここなんですね。

 マーケット関係者にも、楽観的な人がいれば、悲観的な人もいます。

 悲観派はここら辺を警戒ポイントと見ています。

 たまにアップするチャート分析では、日経平均株価指数やNYダウのシナリオを紹介していますが、今のところ、シナリオⅠを継続しているのは、この悲観派の意見を取り入れているからです。

 ちなみに、シナリオⅡやⅢは楽観的な内容ですが、当面、シナリオⅠを継続していきます。

 

 このように考えると、日本では、金融緩和から抜け出すのがかなり遅れるだろうと予測できます。

 その理由はデフレから脱却するのに時間がかかるからです。

 時間がかかるだけならまだいいですが、デフレの脱却ができない可能性もあります。

 そうならないように願いますが、デフレからの脱却を難しくさせている主な理由は、先に挙げた「税・社会保険料の増加」と「老後の生活に対する不安」です。

 この問題がクリアされない中でアベノミクスのエンジンをふかしても、やはり求めている効果は薄いだろうと言わざるを得ません。

 欧米の経済事情と日本の経済事情では、根本的にお国柄の違いがあるんですね。

 

欧米では金融緩和の流れになる。

日本は遅れる。 

 これを前提に考えると、大雑把に言って、1970年以降生まれの人たちがこれからすべき家計防衛は、

収入を増やし、資産を増やす

ことに集約されます。

 もう少し具体的に言うと、次のようになります。

世帯年収が400万円以下のご家庭では、収入を増やす努力をする。

世帯年収が400万円超のご家庭では、資産を増やす努力をする。

 世帯年収の基準を400万円にしたのは、日本人の平均年収がだいたいそれぐらいの金額だからです。

 日本人の平均年収400万円というデータはひとりで稼ぐお金です。

 共働きのご家庭では、世帯年収の平均はそれ以上になっていると思います。

 しかし、この国は、年収400万円を世帯モデルとして制度設計されている傾向があるので、ひとりで稼ぐ、夫婦で稼ぐにかかわらず、年収400万円を基準にこのような家計防衛を考えています。

 世帯年収が400万円以下のご家庭の場合、教育資金や老後のお金を貯めるというのは、さまざまな方法を駆使しても難易度が高くなります。

 なぜならば、貯蓄に回せるお金を生み出せる割合が低いからです。

 そうであるならば、問題の解決はその割合を高めることです。

 支出を見直すのはもちろんそうなんですが、世帯年収400万円以下のご家庭の場合、かなり支出は抑えられている傾向があります。

 支出の見直しの余地が薄い場合、家計簿上(収支のみ)、収入を増やすしか方法がありません。

 ここ最近、国が推奨し、流行っているのが「副業」です。

 もはやこの国は、デフレからの脱却がなかなか進まない中、金融緩和の継続を余儀なくされる状況で、世帯年収400万円以下の人たちに副業をしろと言わんばかりの結論です。

 そこまでしないとお金が貯まらない現実に直面させられているような気がします。

 

 一方で、世帯年収400万円超の人の場合、収入から支出を差し引いた分のお金に余裕が生まれます。

 だから、お金を貯蓄に回そうとしますが、金融緩和の継続により、銀行にお金を預けても貯まらず、貯蓄性の保険もかつてほど意味を持たず、貯蓄環境は正直悪くなっています。

 そこで国は、貯蓄ではなく「資産形成」や「資産運用」をしましょうと言います。

 もはや自助努力を強制されている世界ですが、金融緩和を継続せざるを得ない状況では、これが現実です。

 

 普段の仕事を通じて家計の実態を肌で感じ、ニュースなどで流れてくる国の政策やマーケットの状況を見るにつれ、本当は世の中にはいくつもの世界があり、その世界の中でその世界に合った生き方、暮らし方があるにもかかわらず、二極化している印象を持ちます。

 今回は久しぶりに、金融緩和という経済政策から家計について紐解いてきましたが、今月以降、日・米・欧の金融政策はより注目されていきます。

 その先に何を見るのか。

 そして、東京オリンピックパラリンピックの後、この国はどうなるのか。

 結構、個人も、会社も、かなりの岐路に立たされているんじゃないかと思います。

 自分のせいでもないのに。

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