都議選が終わった後、資産運用の世界ではこんな風が吹く。
昨日、投開票が行われた都議選。
みなさんご承知の通り、都民ファーストの会の圧勝で終わりました。
2017年7月3日(月)12:56時点の日経平均株価指数ですが、
20,087.78円 前日比54.35円高
となっています。
この都議選、マーケットにはほとんど影響がないようですが、上げ渋っている感があることから、今後の安倍政権がどうなるのか、関係者にとって少し懸念材料になっているようです。
資産運用の観点では、選挙戦の結果は「その後の政権運営が安定するかどうか」を予測するために見ていきます。
現在のような長期安定政権の場合、次のような見方になります。
①アベノミクスの進捗にどのような影響があるのか。
②安倍政権が、あとどれぐらいもつのか。
マーケットの結論はこんな感じになっています。
①安倍政権の経済政策の運営にはほとんど影響しない。
マーケットは現金なもので、その国がどうなろうが知ったこっちゃない。
ただ、自分たちが投資しているマネーの流れがどうなるのか、つまり、投資環境が良ければ資金を投じるし、悪ければすぐに引き上げる。
マーケットはこのためだけに選挙の結果を見ます。
当たり前のことですが、資産運用をする場合は、これが現実なので、このようなものとシビアに受け止めることも必要です。
さて、安倍政権にとっては残念ですが、かなりの逆風が自民党に吹いてしまいました。
地方選挙といえども侮ることはできないでしょう。
安倍政権の最大の政策目的は、自民党の党是である「憲法改正」。
日本の将来における国際戦略上の重要案件なので、これからのさらなる議論の本格化に待ったをかけられた形です。
資源や食糧というソフト面での安全保障の確保が未来に向けて必要不可欠になってくるのは想像に難くありませんが、しっかりとした外交に裏打ちされた貿易戦略の実現を図る前提としての憲法改正について、真正面から議論ができなければ長期的な経済政策は本質的に成り立ちません。
マーケット的にはこれについてはあまり重要でないので、ここまで考えて資産運用を行う必要はないでしょう。
そして、重要項目として掲げているのが「外交」です。
2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されますが、開催決定に先駆けて安倍首相は積極外交を推し進めています。
目的は、世界のパワーバランスが崩れた結果、日本を世界の中でどのようなポジションに位置づけていくのかをはっきりと世界に示すためです。
経済協力や貿易協定、国際貢献、技術協力、文化交流などを通じ、今後の日本のブランディングを積極的に行っている印象です。
憲法改正を遠い目標に掲げ、そのための地ならしを外交で行う。
長期安定政権だからできる戦術と言えるでしょう。
ここら辺まで来ると、資産運用的には、日本は安心できる安定した経済大国だということで、投資家にとってポートフォリオの選択肢のひとつに考えやすくなります。
さて、兎にも角にも、マーケットにとって最も気になる点は、日本の経済政策です。
第2次アベノミクスでは、「経済をさらに成長させよう」、「少子化を食い止めよう」、「介護離職者をなくそう」の3本立てで景気を回復させようとしています。
ある程度進んできている印象を持ちますが、今回のような選挙戦の後ではアベノミクスの進行速度が遅くならないかが若干懸念されています。
グランドデザインを持って政策を実現しているところに、自民党の内部からへんてこりんな問題が出て自爆しているような感じですが、それを口実にひたすら批判する野党。
東京都民ではありませんが、今回の選挙は国民としてなんだかなぁと思いつつ、ファイナンシャル・プランナー(FP)としては実務上、わけのわからないことで政策を遅らせないでくれと思ってしまいました。
都民ファーストの会が都議選で勝っても、直接的にマーケットにはほとんど影響はないと思います。
むしろ、その後の安倍内閣の政権運営がどのようになるのか、この点について注視していこうと思います。