確定拠出年金。ファイナンシャル・プランナー(FP)の思う「ホントのところ」(利率保証型積立保険編)
確定拠出年金制度。
この制度の仕組みを深く掘り下げていくと、「誰が一番喜ぶんだろうなぁ」って思ってしまいます。
前回の『確定拠出年金。ファイナンシャル・プランナー(FP)の思う「ホントのところ」(定期預金編)』では、定期預金で運用した場合、“手間のかかる”+“上手な家計のやりくり術”と少し皮肉って結論付けました。
今回は、「利率保証型積立保険」の場合はどうなのかなというお話をします。
上の図は、三菱東京UFJ銀行の確定拠出年金でラインナップされている「ニッセイ利率保証年金」の仕組みです。
確定拠出年金の運用先を定期預金だけじゃなくて、保険でもするという方の場合、結構、これ、使ってる人がいますよね。
企業で確定拠出年金に加入してる人に見受けられます。
銀行・保険会社系では、確定拠出年金の金融商品ラインナップに、このような利率保証型積立保険を用意しています。
利率保証型積立保険でも、通常の確定拠出年金におけるメリット・デメリットでは変わりはありません。
特筆されることは、利率が保証され、積立できることぐらいでしょう。
といっても、満期ごとに利率は再計算されるんですけどね。
利率が保証?
損しないからいいじゃん。
そうです。元本確保型の金融商品なのでリスクはありません。
それでは、定期預金編と同じく、少し計算してみましょう。
以下は、手数料の一覧です。
(運用商品)三菱東京UFJ銀行「ニッセイ利率保証年金(5年)」
(年利)0.011%
(掛金)毎月1万円ずつ
(初年度運用コスト)年間9,317円
(次年度以降運用コスト)年間6,540円
(1年目の運用収益)※計算を楽にするために年単利のもと簡易計算
(1万円-545円)×12か月×(1+0.00011)-2,777円
=11万695円
(2年目以降の運用収益)※計算を楽にするために年単利のもと簡易計算
{11万695円+(1万円-545円)×12か月×(1+0.00011)
=22万4,179円
あれ?
定期預金編と同じく、元本割れしてるっ。
そうなんです。
計算が面倒なのであくまでも簡易計算ですが、運用コストをしっかり入れると収益は必ずマイナスになります。
利率が低すぎるので。
そこで、税の優遇を活用します。
所得税の税率を10%とした場合、簡易計算ですが、節税効果は年1万2,000円。
家計全体での毎年の節約金額は、おおよそ5,472円。
結局、運用成果はマイナス、でも、上手な家計のやりくり術としては、家計全体で毎年5,000円ぐらいは浮く計算になりました。
他に上手にやりくりした方が、手間もかからず楽に年間5,000円ぐらいは捻出できます。
前回の定期預金編では、スルガ銀行の確定拠出年金だったので、手数料が安く、もう少し節約効果はありましたね。
でも、今回は三菱東京UFJ銀行なので、手数料が高いため、節約効果がさらに減っています。
ん~、どうなんでしょう。
利率保証型積立保険も、定期預金と似たような結果になりました。
銀行員に聞いてみたいですね。
みんなやってるの?
やってたとしても、やんなきゃいけない空気だからやってんの?って。
(結論)
老後の生活資金を準備する。
⇒利率保証型積立保険で運用するなら、普通に保険会社で入るよりも、確定拠出年金を活用すべし。
⇒ただし、メリットは、家計全体として節税効果があるだけと割り切ろう(資産運用の効果は現状ではむしろマイナス)=手間のかかる上手な家計のやりくり術。
結局、これか~。