FP OFFICE 海援隊|1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」

これからの時代、変わりゆく常識を少しだけ早くキャッチし、人生に活かしてみる。

70歳からを老後にしないために知っておきたい3つのこと:①賃金カーブが鈍化しても老後のお金が貯まる仕組みを作る

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 70歳が老後になる!?

 自分も含め、1970年以降生まれの人たちの間では、年金がもらえるようになる年齢が70歳からになるんじゃないかということで、この考え方は半ば共通認識になりつつあります。

 でも、老後が70歳って、ホントにそれまで働くの?

  結論。

 65歳までしか、働かないっ!

と自分で決める。

 

 現行の制度では、定年退職が60歳、その後、希望すれば65歳まで再雇用されるようになっています。

 つまり、定年は60歳ですが、完全リタイアである65歳からが老後。

 

 これが70歳に延びても、65歳までしか働かないようにする。

 このために、

 今のうちから老後の生活資金を本気で貯め始める。

 

 そのために、まず知っておく必要があるのが「賃金カーブ」です。

 賃金カーブとは、会社員の賃金が年を経るごとにどのように推移するのかを示したグラフ。

 これが少しずつ緩やかになっていて、退職までに受け取る賃金が減ってきています。

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 上のグラフは、厚労省の統計による賃金カーブの変化を示したものですが、1957年から61年生まれの人と、1972年から1976年生まれの人の賃金カーブを比べると、その傾斜が緩やかになっています。

 この意味するところは、世代が下になるにつれ、入社から退職までに受け取れる生涯賃金が減ってきているということです。

 

 もう少し掘り下げて見てみましょう。

 企業が設定している賃金カーブには、大きく分けて6つの型があります。

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 産労総合研究所が2015年に行ったアンケート調査によると、中でも③の「上昇率逓減型」が最も多く、④「上昇後フラット型」、⑥「上昇査定変動型」と続いています。

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 しかし、高齢化社会による高齢者の雇用対策や景気の低迷による業績の悪化などで、企業は人件費を抑制するために賃金カーブの見直しを考えているようです。

 下の表は、同研究所が同時に行った賃金カーブの変更についてのアンケート結果です。

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 これによると、⑥の「上昇査定変動型」に変更することを考えている企業が最も多く、次いで⑤「上昇後減少型」、②「早期立上げ型」と続いています。

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 「上昇査定変動型」

 大企業で採用されてきているこの型は、社員・従業員の成績や能力などに応じて賃金を査定するという制度です。

 ポイントは、基本給が低く抑えられ、職能給や業績給が賃金の中心になることですが、ここに大きな問題が含まれています。

 一般的に企業では、退職金を基本給にもとづいて算出します。

 (退職時基本給)×(勤続年数別係数)×(退職事由別係数)

 この算出方法を採用している企業では、基本給が退職金の算出基礎になるので、退職金は賃金カーブの緩和により従来に比べ減少します。

 また、最近の賃金制度の変更で、基本給とは切り離し、ポイント制にするところが増えています。

 (勤続貢献ポイント+仕事貢献ポイント)×ポイント単価

 どれだけ会社に貢献したかが退職金の算定根拠になります。

 

 年功序列型賃金の時代が終わり、会社への貢献度によって賃金や退職金が決まる時代へ。

 いずれにせよ、1970年以降生まれの私たちは、このような賃金制度のもと働き、退職までに稼ぐ収入が親世代に比べ安定していないということは認識しておく必要があります。

 

  そこで、生涯賃金が減るとするならば、つまり、老後の生活のための準備資金が貯まりにくい時代を生きるとするならば、私たちは、いつか来る老後に備えるために、今のうちから「お金が貯まる仕組み」を作り始める必要があります。

 老後の家計を財政問題と捉えよ。

 

 年金カット法案と揶揄されている年金制度改革関連法案は、国の年金財政の枠組みの中で、高齢者世代と現役世代の格差を是正するための法案です。

 つまり、国の財政問題を総合的に考えたうえで、年金制度を改善していくことが趣旨となっています。

 これと同じく、私たちの老後の家計も、家の財政問題と捉えると、より現実を直視しやすくなるのではないでしょうか。

 

 ポイントは4つです。

 ①収入を増やす

 ②支出を減らす

 ③資産を増やす

 ④負債を減らす

 

 一般的な会社員のご家庭では、②「支出を減らす」が最も現実的かもしれません。

 先日もブログで取り上げましたが、「人生の4大支出」である「住宅ローン」、「教育資金」、「老後のお金」、「生損保の保険料」のうち、住宅ローンと生損保の保険料について工夫すると、他の支出を見直すよりも貯蓄効果はアップします。

 また、③の「資産を増やす」でも工夫をしていくと、お金は貯まりやすくなります。

 銀行にお金を預けるならネット銀行、もう少し利回りが高い方がいいなら貯蓄性の保険を選ぶ、比較的安全な金融商品国債・MRF・MMFなど)で資産運用するなどは、それほど難しくもなく着実にお金を貯めやすい方法と言えます。

 

 このように、お金が貯まる仕組みを作ると、老後のお金はより貯まりやすくなります。

 

(まとめ)

 生涯賃金や退職金は減少傾向にある。

 収入が減る中で老後のお金を貯めるには、家計の中で、お金が貯まる仕組みを作る。

 

 次回は、「70歳からを老後にしないために知っておきたい3つのこと:②公的年金だけでは老後の生活を満たせない!足りない部分をどう貯める?」をお伝えします。

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