FPが言うのもなんですが、家計簿つけなくても、こうすれば、お金って貯まるよね。
お金ってどうしたら貯められるの?
ここ数年、よく感じるのが、このお悩み。
特に子育て世帯、1970年以降生まれの現役子育て世代のほとんどがこの手のお悩みをお持ちのようです。
お金貯めたいですよね。
でも、貯められない。
なんで?
ご面談の際に家計簿についてヒアリングします。
「家計簿、つけてらっしゃいますか?」
毎月、つけている。
つけたことはあるけど、続かなかった。
つけたことがない。
当たり前ですが、毎月家計簿をつけているご家庭は、比較的お金は貯まりやすいです。
逆に、家計簿をつけていない人は、お金の出入りがどんぶり勘定になるので、必然的に無駄遣いが多くなり、お金が貯まりにくくなります。
だから、家計簿をつけましょうとよく言われますが、ファイナンシャル・プランナー(FP)の目から見ると、家計簿をつけようが、つけまいが、今のご時世、お金は比較的貯まりにくい傾向にあることを前提に、ご相談者様と面談をさせていただいております。
「人生の4大支出」といわれるものがあります。
①住宅ローン
②教育資金
③老後の生活費
④保険料
お金が貯まりにくい原因は、収入に占めるこの4つの支出の“割合”が、昔と比べ高くなっていることにあります。
日本人の平均年収は、10年前と比べると約100万円減りました。
400万円ぐらいが今の平均年収となっています。
少なくなった収入に比べ、4大支出の金額が減っていない。
むしろ、増えているものもある。
これがお金が貯まりにくくなっている1番の原因です。
もう少し中身を見ていきましょう。
①住宅ローン
人生の中で「住む」=住環境について、親世代の価値観に引きづられ過ぎている。
収入が右肩上がりだった高度経済成長期からバブル期までは、一国一城の主としてマイホームを買うことが夢であり、ある意味、成功のステータスでもありました。
でも、今は、昔と比べ、より苦労して手に入れる努力の賜物のような存在になっています。
新築一戸建てを買える方は買えばいいし、マンションの方がいいという方はマンションで十分でしょうし、それよりも中古住宅市場がこれからより整備されるようになるので、中古住宅を購入し、リフォームやリノベーションをして自分だけのお城を持つでもいいし、田舎暮らしで都市よりも広い家に住みたいのならそれでもいいし、住むうえでのラインナップが昔よりも多くなっているのに、1,000万円、2,000万円、背伸びをして住宅ローンを組んでしまう。
人生という限られた時間の中で、どのように「住まい」を考えていくのか。
まず、ここに、お金の貯まりやすい人と貯まりにくい人の違いが生まれています。
②教育資金
バブルが崩壊し、デフレが長引いているにもかかわらず、教育資金は増加傾向。
その理由のひとつとして、特に小泉政権のときの“ゆとり教育”により、学校での授業数が減り、学力が低下したことで、親御さんがお子さんを塾通いさせるようになったことが挙げられます。
それと、英語教育の実質的な義務化。
2020年までに学校では英語を英語で教えるという文科省の方針が打ち出されていて、このような流れがお子さんの英語教育ブームにつながっているようです。
学校じゃ、しっかりと勉強させてもらえない・・・。
子どもの将来を考えると英語を学ばせないと・・・。
かつて塾は、進学するためのものでした。
だから、学習塾に通う子供の比率は今ほど高くありませんでした。
今では、塾は学校の補講、つまり、補足授業をしてくれる場になっています。
進学をそれほど考えていないご家庭でも、お子さんが塾に通うのが当たり前になっているようです。
これも、お金が貯まりにくい理由のひとつですよね。
③老後の生活費
1970年以降生まれの私たちは、現行の年金制度のもとでは、年金がもらえるのは、原則、65歳からとなっています。
生涯賃金が少し減らされ、60歳で定年後、現役時の約半分のお給料で65歳まで再雇用され、完全リタイア後は、親世代よりも少ない年金で暮らすことになります。
年金のもらえる年齢を68歳から、70歳からにしようという議論がされていますが、このような報道を聞くにつけ、老後のためになるべくお金を貯めていこうという心理が働くのも当然です。
家計簿の中で、貯蓄に回す分も支出ととらえると、よりお金を貯めようとするので逆に消費が回らず、企業が潤わず、収入が思うように上がらないという経済状況が生まれやすくなます。
つまり、収入が昔と比べ上がりにくい環境の中では、お金を貯めるのは難しい。
これも、子育て世帯にとっては、お金を貯めにくい要因のひとつです。
④保険料
うすうす感じているかもしれませんが、リーマンショックや東日本大震災、超高齢化社会など、さまざまな要因で、生命保険・損害保険の保険料は上昇傾向にあります。
保険は金融商品です。
貯蓄性のある保険は、今のマイナス金利のせいで利回りが悪化し、保険会社にとってはお荷物な存在になっています。
また、地震による被害や高齢者の増加により保険会社の支払う保険金・給付金が増加しています。
当たり前のことですが、このような理由から保険会社の経営体力が弱くなり、保険料の値上げという形で私たちの家計を圧迫しています。
20代の頃に入った1万円台の保険料が、10年経って30代で2万円台、もう10年で3万円台、もう10年で4万円台と、10年ごとに保険料が上がっていくアカウント型保険にご加入の方を多く見かけますが、これもお金が貯まりにくくなっている原因のひとつです。
保険はライフプランに合わせて上手に見直していくもの。
多すぎる保障や高すぎる保険料に何も手をつけづに見過ごしていると、塵も積もれば山となり、貯まるはずのお金が貯まっていなかったという結果になりがちです。
お金を少しでも多く将来のために貯めたい。
だから、一生懸命頑張って節約してるんです!って言われるかもしれません。
でも、少し冷静になって考えてみてください。
スーパーの買い物で安いものを見つけるよりも、冷蔵庫の開け閉めに気をつけるよりも、携帯電話の通話料を気にするよりも、もっと大事なことを今回はお話しました。
「人生の4大支出」に手をつけること。
時代は昔と比べ変わっています。
「マイホームと人生」について、もう一度考えてみましょう。
「お子さまの教育」について、もっと真剣にご夫婦で話し合ってみましょう。
「老後の生活」について、幸福度とは何かについて夫婦間で向き合ってみましょう。
「保険の目的や意味」について、ご自身やご家庭に合っているのかどうか、確認してみましょう。
人生の4大支出はとても大きな支出です。
ここに手をつけるのと、つけないのとでは、その後の人生の送り方が大きく違ってきます。