FP OFFICE 海援隊|1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」

子育てしながら、お金を貯める。これまでとはちょっと違った未来の常識。

ヘッジファンドの雄、ジョージ・ソロスと中国人民元問題のカラクリ。

 こんにちは。ファイナンシャル・プランナー(FP)事務所「FP OFFICE 海援隊」の重定です。

 世界の著名投資家ジョージ・ソロス

 イングランド銀行(英中央銀行)を打ち負かした男。

 1992年の英ポンド危機と、1997年のタイ・バーツ通貨危機の発端となった、ヘッジファンドの代表です。

 その彼が1月、スイスのダボスで開かれた「世界経済フォーラム年次総会」、通称ダボス会議で「中国のハードランディングは不可避だ。これは予想ではなく、実際に目にしていることだ」と発言しました。

 ダボス会議は、先進国の首脳や要人、有識者が集まり世界経済について話し合う重要な会議で、ここで話し合われる内容は、特に投資家にとって資産運用をするうえで貴重な情報と言えます。

f:id:fp-office-kaientai:20160314001945j:plain

 そこでの議題のひとつに「中国経済の減速」がありました。

 今の中国経済の最大の問題点は、中国国内から多額のマネーが流出し続けていることです。

 2014年の第4クウォーターから資金流出が始まり、2015年の流出額は総額1兆ドル(約121兆円)と、過去最悪の数字になりました。

 中国国内から人民元が流出しているということは、人民元が売られ続けている、つまり「人民元安」を意味しています。

 中国といえば新興国の筆頭として世界経済の中心に躍り出てきた国ですが、それまでの間、特にリーマンショック後の世界経済を牽引してきた中で、EUや東南アジア、中南米、アフリカと、中国マネーが猛威を振い、広く世界に影響力を行使してきました。

 しかし、中国国内で加熱する不動産バブルが崩壊し、政府の不良債権だけでなく、地方の不良債権までもが積み上がり、「中国危ない」、「人民元を換金しよう」という流れが昨年急速に起こり、大量の資金が国外に流れ出ています。

 先に挙げたジョージ・ソロス氏の発言:「中国のハードランディングは不可避だ。これは予想ではなく、実際に目にしていることだ」は、このような一連の流れを指し示しています。

 人民元の下落は、関係する各国に大きな影響を及ぼします。

 ①東南アジアを始めとする新興国通貨やユーロ⇒連鎖的な通貨安

 ②米ドルや日本円⇒通貨高

 ここを狙って、ジョージ・ソロス氏は、通貨の売買ポジションを「新興国通貨のショート(売り)、米ドルや日本円のロング(買い)」に変更することを考えていると言っています。

  

 デフレからの脱却を目指している日本にとって、円高への回帰はアベノミクスの失敗を確定させてしまいます。

 年初の大発会からしばらく続いた日経平均株価指数の急落は、この人民元問題に端を発していますが、投資家たちにとっては円高⇒株安を連想させたことでしょう。

 このような流れを食い止めるために、日銀はマイナス金利政策を実施しました。

 これは一足早くECB(欧州中央銀行)が行っていたマイナス金利政策を倣ってのことです。

 

 すでにEUはデフレ経済の様相を呈し、日本は長引くデフレから脱却しようともがいています。

 今後、先進国を中心に金融の量的緩和がコンセンサスとされ、日本にとってはゼロ金利政策を継続するように求められるでしょう。

 直近では、アメリカのFRB米連邦準備制度理事会)が利上げを行うかどうかが注目ですが、先送りされる公算が高まっています。

 

 世界中で当たり前のように行われる金融政策。

 経済学の論理では、金融政策や財政政策を実施しながら、その後に実体経済が回復する算段を付けるというのがセオリーですが、第1次アベノミクスでいうと、1本目の矢が金融政策、2本目の矢が財政政策、そして実体経済の回復を3本目の矢である成長戦略が担っていました。

 第2次アベノミクスでは、福祉面も含め、より実体経済の回復に照準を合わせた施策がなされています。

 もうすでに金融政策は臨界点に達しています。

 金融政策が実体経済を回復させる効果は本当はそれほどないのかもしれません。

 世界経済の潮流に左右されるのは仕方ないとしても、今こそ、実体経済に合った、より強力な構造改革規制緩和が必要なのではないでしょうか。