東日本大震災から5年。意外と低い「地震保険」の加入率。
こんにちは。ファイナンシャル・プランナー(FP)事務所「FP OFFICE 海援隊」の重定です。
東日本大震災から今年でもう5年。
記憶にはっきり残っていることを思えば、まだ5年しか経っていない出来事なのかもしれません。
あれから私たちの災害への意識はどのように変わったのでしょうか。
損害保険料率算定機構では毎年度、都道府県別に地震保険の加入率を集計しています。
地震保険の加入率は年々増え続けていますが、特に2011年度の伸びが際立っています。
それでもおおよそ、2014年度の全国平均は30.0%弱、東京都・神奈川県・千葉県でも30.0%台と決して高い水準とは言えない値です。
このようなデータで見ると、実際は、地震に備える意識は高まっていないのかもしれません。
なぜでしょうか。
「地震保険」は、国の行っているいわばセーフティーネットのようなものです。
民間の損害保険会社の「火災保険」とセットで加入することになっており、単独で入ることはできません。
また、火災保険と比べると、地震保険の補償額が火災保険で補償される金額の30%~50%と制限されており、さらに保険料も火災保険とそれほど変わらなかったりするので、このような制度設計が加入率の低さにつながっていると思われます。
つまり、地震保険=保険料が高い割には補償が十分でない、だから入りたくても入らないということなのでしょう。
地震に備えるという意識はあるが、補償面や家計面で考えると二の足を踏む人が多いようです。
そもそも地震保険は、1964年の新潟地震をきっかけに制度が始まりました。
その目的は地震で家が倒壊した場合の建て直し費用を補償することではなく、被災者の当面の生活費を賄うためのものでした。
今から数えるとおよそ50年前ですが、地震についてのその時代の考え方は、地震になったら家は壊れるのが当たり前、それよりも被災したときにいかに対応するのかを考えることの方が先だということで、人命救護や生活支援などのセーフティーネットとして制度設計がなされました。
考えてみればそうですよね。
国がリスクを肩代わりするのは人命や最低限の生活に対してで、家を建て直すところまで見てしまうと途方もない国費を使う必要があります。
ここに生活者との間の認識のずれが生じています。
さて、地震保険に入った方がいいのはみんな普通に思います。
でも、先程の理由で割に合わないという印象を持ってしまっています。
このような方のために国は「地震保険料控除」という優遇税制を用意してくれています。
地震保険料のうち、所得税で年間50,000円、個人住民税で年間25,000円を上限に課税所得から差し引くことができるという制度です。
節税の効果としては個人差がありますが、所得税率が20%の人の場合、簡易計算上概算で10,000円ぐらいは家計の助けになる可能性があります。
地震にあった場合、どう振る舞えばいいのかは遭遇しなければわかりません。
でも、あらかじめ備えておくのとそうでないのとでは、事後の対応に大きな差が出てきます。
損得に捉われずに万一に備えるのが保険です。
もちろん家計を損なってまで地震保険に加入するのは問題ですが、できることならしっかりと準備しておきたい、地震保険は結局ここに尽きますね。